集団自決問題や検定の是非については,ここで述べるだけの知見を持ち合わせていませんが,検定制度は戦後日本だけの特殊な制度ではなく,ドイツなど欧米でも見られようです。アジアでも(表面上はともかく)実質的な官僚介入が行われている国も多いようです。
ところで,朝日新聞では「歴史は生きている 東アジアの150年」と題する大型企画を連載中ですが,その第3章「日露戦争と朝鮮の植民地化」(上)の『教科書を比べる』(2007年8月27日付朝刊)では次のような表が載っていました。
| 日露戦争 | 朝鮮の植民地化 | |
|---|---|---|
| 日本 | 見開き2ページ。国際関係に重点 | 約1ページ。抵抗運動も |
| 中国 | 記述なし | 記述なし |
| 韓国 | 経緯も含めて5行 | 植民地の影響も含めて51ページ |
| 台湾 | 5行。立憲運動との関係に重点 | 「世界史」部分で4行 |
これを見ると,国によってかなりの温度差があることがわかります。これはおそらく執筆者個人の思想よりも,国の姿勢が投影された結果と見て間違いないでしょう。
しかしいずれにしても教科書に書ける分量にはかぎりがありますから,その中で学んだことだけがすべてではないと知るべきです。むしろ学校教育が終わってからの「勉強」をどれだけするかに,個々人の教養の幅がかかっています。いつの時代にも良質の教養書が求められている所以です。
100余年が過ぎたとは言え,私たちが「日露戦争」に学ぶことはたくさんあります。いまやっているアーカイブ整理・編集などの作業も,「良質の教養書」づくりにつながるという想いが原動力になっています。(GEN)