2007年11月05日

教科書問題に思う

太平洋戦争末期,沖縄の「集団自決」に関する教科書記述が問題になっています。11月1日,2日には検定意見が付いた高校教科書の発行元である教科書会社5社中の4社が文科省に訂正申請したとの報道がありました。残る1社も近々申請するだろうとされています。
集団自決問題や検定の是非については,ここで述べるだけの知見を持ち合わせていませんが,検定制度は戦後日本だけの特殊な制度ではなく,ドイツなど欧米でも見られようです。アジアでも(表面上はともかく)実質的な官僚介入が行われている国も多いようです。
ところで,朝日新聞では「歴史は生きている 東アジアの150年」と題する大型企画を連載中ですが,その第3章「日露戦争と朝鮮の植民地化」(上)の『教科書を比べる』(2007年8月27日付朝刊)では次のような表が載っていました。

それぞれの記述の分量と特徴は?
 日露戦争朝鮮の植民地化
日本見開き2ページ。国際関係に重点約1ページ。抵抗運動も
中国記述なし記述なし
韓国経緯も含めて5行植民地の影響も含めて51ページ
台湾5行。立憲運動との関係に重点「世界史」部分で4行

これを見ると,国によってかなりの温度差があることがわかります。これはおそらく執筆者個人の思想よりも,国の姿勢が投影された結果と見て間違いないでしょう。
しかしいずれにしても教科書に書ける分量にはかぎりがありますから,その中で学んだことだけがすべてではないと知るべきです。むしろ学校教育が終わってからの「勉強」をどれだけするかに,個々人の教養の幅がかかっています。いつの時代にも良質の教養書が求められている所以です。
100余年が過ぎたとは言え,私たちが「日露戦争」に学ぶことはたくさんあります。いまやっているアーカイブ整理・編集などの作業も,「良質の教養書」づくりにつながるという想いが原動力になっています。(GEN)
posted by 澪標の会 at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 制作メモ
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